午前三時の音楽

ライブの感想などを書いています

高橋徹也×小林建樹 2023/1/27@吉祥寺Star Pine's Cafe

なんと一カ月ぶり! の小林建樹さんのライブは建樹さんのお誕生日の翌日に開催。
高橋徹也さんと小林建樹さんはおふたりとも一月生まれの同級生同士のシンガーソングライターで、同学年の51歳。
稀代のベーシスト鹿島達也さんのサポートによりご縁があったとは言え、付かず離れずの距離感のまま、長年お互いを意識し合っていたのだというおふたりの共演が6年半の時を得て再び!
先月3年ぶりに東京に行ったばかり、かつ感染症の拡大もすごい状況下なのですから本来ならおうちで楽しんだほうがいいに決まっているのですが、こんなにもこんなにも大好きなお二人の夢の対バンを見逃すなんてそんなことできるわけありません。大阪に帰った翌日に格安パックツアーを手配し(笑)、いそいそ東京へ。東京都美術館エゴン・シーレ展(芸術への向き合い方や鋭敏な感性の凄まじさなど、高橋さんともどこかしら通じるものを感じたのでおすすめです)を見て、お買い物やお茶を楽しんでからいざライブへ!
会場は高橋さんのライブではお馴染みのホームのひとつ、憧れの吉祥寺Star pine's Cafeです

グランドピアノがある会場ってほんとうにいいな。そしてスタパはステージセットと照明の演出の美しさがたまらなく美しい。映像で何度も見たあのステージだ! と感激しながら開演を待っていたところ、先行の小林建樹さんが登場!
アコギを爪弾きながら力強く高らかに始まるオープニングは「M&R&R」!
毎回一曲目にセレクトされる楽曲には驚かされますが、今回も思いもよらないものだったなぁ。歌声とギターの音色が会場いっぱいに響き渡った瞬間、全身が音に包み込まれる心地よさと感動で胸が震える!
建樹さんはギター弾き語りの熱量もまた素晴らしいんです。ギターの音色と歌声を一体化させて、まるで全身を楽器のように力強く響かせてしまう!
ライブならではの力強くのびやかなフェイクをふんだんに取り入れ(カッコいい―!)ながら、立て続けに流れるような勢いで「LOVE」、ラブ繋がりでと選ばれたのだという「進化」と、誰も予想など付くはずもなかった選曲で流れるように三曲。あまりの圧巻のパフォーマンスに、見ている側もひたすら息をのんで見守るほかないのです。
(「LOVE」の歌詞にあるように『いままでとこれからが重なり繋がるこの場所』から未来に向けた音楽を鳴らそう! という思いはおふたりともに感じられましたよね。なんとぴったりなオープニングだったんだろう)

ここでひといき付くように最初のMC。

「会場にご来場の方、配信でご覧の方、そして高橋さんのファンの皆様こんばんは」

配信組にも挨拶してくださるの、うれしいね。優しさを感じる。

「Star pine's Cafeにはよく呼んでもらって、19年前にワンマンをやった時の音源はきょう持ってきたアルバム(流れ星トラックス)にも入っています。懐かしいですね」

時の流れってすごいなぁ。建樹さんはもう10年(!)バンドでライブを行っていないのですが、千ヶ崎学さんと宮川剛さんとの3ピースバンドの演奏も素晴らしい音楽の魔法にあふれているんです。音源を残してくださっていてありがたいなぁ。
序盤三曲のこの流れは初見の高橋さんのお客さんを取り込もうという意識と気迫を感じました。
わたしはおふたりとも大好きですが、建樹さんの活動にメジャー時代の代表曲でしか触れていなければ、ハイトーンのキュートな声とカラフルな音色が特徴の捻くれたポップスを歌うシンガーだと思っている方も多いと思うんですよ。
いや、それも建樹さんの魅力の一つではあるのですが、建樹さんの歌とサウンドにはソリッドなロックのダイナミズムもひしひしとあふれていて、特にギター弾き語りになるとその要素がぐぐっと強まるんです。
これは高橋徹也という強力な力を持つ同学年シンガーソングライターへの挑戦状であるのと同時に、いまの建樹さんを知らない人への『2023年の小林建樹』の自己紹介の意味合いの強さを感じます。
前回(6年半前)のライブでは『良い意味でいつも通りの小林建樹』を見せてくださることで我らを圧倒させてくれましたが、今回は前回とも直近のソロワンマンともまるで違う! まなざしから受ける気迫がとにかくすさまじくて、(e+が繋がらなくて20番台だった)後方のわたしにも届く目力から溢れる色気が凄い!
12月のワンマンで感じた喜びに満ちたキラキラしたまなざしとはまったく別物なんですよ。そしてもちろん、放たれる魅力と引力が凄まじい。強力なライバルとその音楽に魅せられている聴衆を意識するとこうも変化するものなんですね。
緊張感の溶けないチューニングタイムを挟んでからは、キラーチューンのヘキサムーン!
この曲はピアノでもギターでも本当に映えるよね。曲の展開はどことなくだけれどMy favorite girlあたりのポップセンスにも重なって聞こえるような。同時代に生み出された曲ですもんね。ただロマンチックなのとは違う、独自の視点が本当にユニークだし、いつ聞いてもタイムレスな歓びと心地よい開放感に満ちていて文句なしに心地良い。
続いてはこれまた以外な選曲だった「告白」! カッコいい~!!
不透明な政治や社会への不信感など、『いまこの時』ともリンクしているように感じられる社会性を帯びた歌の世界やスリリングな曲の展開など、どこか高橋さんの「大統領夫人と棺」を思わせるよう。
のちのMCでも和音やコードの進行に共通点を感じる、と発言されていましたが、一貫して高橋さんのことを強く意識したセレクトですよね。
「幹線道路を走っている~♪」のくだりがわたしは大好きなのですが、このパートをアカペラで高らかに歌ってくれたくだり、最高にカッコよかった。

続いてMC

「僕は自分で作ってうたうシンガーソングライターなんですが、たまに人に歌ってもらうこともあって。きょうはすごく寒い日で、予想していたよりもずっと寒くて…...寒い感じの曲を」

ここで披露されたのは2006年の冬季のトリノオリンピックのテーマソングだった平原綾香さんの歌った「誓い」
これもまた珍しい、誰も予想できるはずもなかったセレクトだ!(アルバム「ゴールデン☆ベスト」に建樹さんverが収録されています。廃盤ですが中古などで比較的に手ごろに入手できますのでおすすめ)
心を震わせる力強さと美しさ、溢れるような思いがまっすぐ胸に届く、「いつも」とはどこか趣が異なっているからこその素晴らしさを堪能させてくれる名曲ですね。ロックシンガーとしてのダイナミズムを感じさせてくれる圧倒的な歌の力、ほんとうに素晴らしい。
オリンピックという各々が闘志を燃やす舞台を照らし出すために生み出された曲ですが、「きょうこの日」という舞台に挑むにあたっての決意表明も込められていたのかな?
(この後の「ありがとうございます」の言い方、かわいかったですね。建樹さんのチャーミングな一面が感じられました)

さて、びっくりするほどの充実感で我らを魅了してくれたあとは、間髪を入れずにピアノに移動されての後半戦がスタート。
高橋さんを意識されてか、ジャズ風のイントロで始まり(この曲は既存の何かの曲?? ご存じの方がいらしたら任せた!)
一曲目に選ばれたのはこれまたまさかの「イノセント」! 個人的には今回のハイライトのように感じて、胸がぎゅうっと苦しくて泣きそうになってしまった。
イントロの静かにこぼれおちるようなピアノの音色から歌いだしのあまりの美しさと、前半から一転した空気の描き方! 
この人のおそるべし表現力の深さ、美しさをここまで見せつけてくれるんですね。
歌声にも歌詞の世界にも建樹さんのイノセントなピュアネスがあふれていて、あまりの美しさに心が震えて目が離せない。高橋さんの伸びやかな高音の美しさに魅了されている方にもこの魅力はきっと届いたよね。
原曲ももちろん素晴らしいのですが、ピアノ弾き語りのそぎ落とされたサウンドと、いまの建樹さんのより成熟した表現で鳴らされることで楽曲の世界観の奥深さが何十倍にも増幅されているように聞こえるんです。
この、サビ前に少し転調してドラマチックな高鳴りを演出する構成は高橋さんの楽曲でもよく見受けられるもののような。やはりライバルを強く意識してのセレクトだぞこれは(※2回目)。
そして流麗なアウトロから流れるように奏でられたのは「最初のメロディ」!!! 前回のワンマンで『オールタイム歌える曲ではないけれど、今回は』と思いを込めて歌われた「replay」の延長上に鳴らされているかのように個人的には感じました。
(実際この二曲はメジャーを去られた際のベスト「Blue note」の新録として、新しい場所への出発の決意を感じさせるように最初と最後に配置されていますね)
前半のLOVEをテーマに届けられた3曲を受けるように、音楽に、芸術に、そしてそれを夢中で受け止める我ら聴衆への愛と喜びが、きらめきが音の中にこんなにも満ちている。
去年のライブでもひしひしと感じたことですが、いまここで鳴らされている音楽はどれも、『いま現在』の感情を込めてあらたな命を宿されてのreplayなんですよね。だからこんなにも瑞々しくて新鮮で美しいんだ。
サビ前、「生まれたんだ♪」のくだりで鍵盤から離した掌が軽やかにふっと舞う仕草、ぎゅっと胸をつかまれるように愛おしいな。音色に導かれるまま、高揚感に震わせる姿があまりにも美しいんです。本当に、「絵になる大人」なんだから。
美しい声のバラードにみながうっとりとしたところで続いて「spider」! えっこの構成はあまりに完璧だな! 天才だな! 知ってる!!!笑
この軽快に跳ね回るようなジャズテイストのピアノの調べとゾクゾクするような昇りつめていく歌の世界、やはり高橋さんをものすごく意識している!(※3回目)
アウトロに入る前、なんと「空想故郷」をワンフレーズ入れて〆るのにもびっくりさせられました。
ノンストップで繰り広げられた演奏を一旦和らげるようにここで「spiderでした、ありがとうございます」のご挨拶と共にピアノを響かせ、会場からは感激を伝える拍手がさあっと響きます。

「すいませんね、緊張しいでごめんなさい」

はにかんだ優しい笑顔と共に告げられる言葉、らしいなぁ。
いいんですよそんなの、我らはこの素晴らしいパフォーマンスに魅了されて固唾をのんで見守らせていただいているだけなんですから。
とは言え、『ファンが知っているいつもの建樹さん』とは異なる緊張感があったのは確かなんです。(昨年のワンマンではもっと軽やかな空気で笑顔が自然にあふれ、合間のおしゃべりにもファニーなやわらかさがありました)
以前のライブではよく「緊張するわぁ」とはにかみながらおっしゃっていて(そんな風に全く見えないのに!笑)、人前でライブをやるのは苦手とおっしゃっていたほどの方ですからね。そんな方があえての緊張感を隠さない、聞き手を圧倒させるパフォーマンスを見せて下さっていることにすごく大きな意味があるんだよなきっと。

「年明け二日にアルバムをリリースしました。星座占いが好きで個人的に勉強していて、そうするうちにすべての星座のことがすごく好きになったので曲をつけたくなりました」

(詳しい解説はWEBラジオ、「ムーンシャインキャッチチャーR」でどうぞ!)

youtu.be


なんとここで、「何座ですか?」の全曲メドレー!
ゲーム音楽のような彩りの鮮やかさ、実験的な試みがあふれたカラフルな楽曲たちがピアノで奏でられることで、ドラマチックな美しさを際立たせてくれます。
この人の興味関心はどれほどのもので、どれだけの音楽の引き出しを持っているんだろう? 我らにこうして見せて下さっているのはそのごくほんの僅かでしかないんだな、と改めて驚かされます。
圧巻のメドレーの後は、すこし長めのMC。

「去年くらい今年にかけて、音楽をやっていく上での姿勢――気持ちの持ちようを、明るい感じでやっていこうと決めていたんです。もともとそんなに陽気ではないけれど明るくもない……普通くらいなんだけれど、頑張って明るくしようと思って。そのくらい明るくやっていかないと、世の中がそのくらい暗いムードの中にいるから普通に暗くやっちゃうと埋もれてしまう感じがして」

こうして丁寧に、心を手繰り寄せるように優しく語りかけてくださるところに建樹さんらしさがあふれているなぁ。
建樹さんはすごく繊細でちょっぴりシャイな方なのか、ご自分の気持ちを語られるときにはいつも照れ隠しのように関西弁での冗談交じりでやわらかくお話してくださるところがすごく好きです。
誠実さと優しさ、真摯なお人柄があふれていらっしゃる。
ここで思い出さずにいられないのは、前回のワンマンライブ「UNERI」でのMC。

「歌詞の内容が暗い……後ろ向きなんですが、いまの時代の空気が反映されていて。今年は本当に洒落にならないヘビーな出来事がたくさん起きて、いまこの時も平時とは言えない状態が続いていて、心の中を覗くと大きなうねりの中に飲み込まれているように感じます。ライブのタイトルも渦潮とか鳴門海峡が一番ふさわしい気がするけれど、鳴門海峡はさすがにどうかと思ってUNERIにしました」
「ほんとうにこんな苦しい状況だけれど、きっと10年経つ頃には『あの頃は大変だったね』と言い合えると思う、そんな未来に向けて歌っていけたらと思います」

(詳しいレポートはこちらでどうぞ)

love-lylic.hatenablog.com
世の中のこの状況にこらえようのない苦しさを感じて押しつぶされそうな気持ちでいたこと、そんな中で、だからこそ音楽を届けることで希望を描きたい、『人生の土台』を未来へと託して生きていきたいと決意表明を示してくれた昨年のライブを経て、建樹さんが新たな目標を掲げていらっしゃることを聞かせていただけたようでなんだかすごく嬉しいし、こちらまで励まされるよう。
最初のメロディで歌われているように、音楽の中にこそこの息苦しい暗闇に覆われた世界を照らす光があることを信じていて、それらをわたしたちにこんなにも真っ直ぐに手渡してくれる。だからこんなにも心を惹きつけてくれるし、信じたいと思わせてくれるんだね。

思い切り余談ですが、わたしはコロナ禍になってから10年以上通っていた行きつけの美容院を変えたり、ずっと憧れのままだったお洋服屋さんの服を着るようになってファッションが頓智気になったのですが(初めてお会いするツイッターのフォロワーさんが名乗る前から「らいさんですか」って気づいてくれる。こんな人いないもんね。笑)(たまにツイッターに私物載せるからな……みんな見せられても困ると思うんですけどw 好きなものが載ってるとわたしが楽しいんです)、あまりにも社会全体が閉塞感と不安でものすごく息苦しいので、『世間の目や自分の年齢のことを気にして自分を抑えるなんてもういいや! 限りある人生なんだから好きな服を着て楽しく生きよう!』と吹っ切れたからなんですね。
それもまた、世の中がこんなにも暗いのなら自分自身を明るく奮い立たせて生きよう、ということなのかな。

 


これは建樹さんファンであることのひそやかなアピールのピアノモチーフのお帽子。お帽子作家のここあみさんの作品です。

<余談終わり>

ここで満を持して、建樹さんパートの最後に演奏されたのは「祈り」
一向に終わらない争い、傷つき、戸惑う事は避けられなくとも、生き続けること、音楽を、希望を奏で続けるのだという高らかで優しい意志表明が瑞々しくあふれ出していくよう。
自分の心の内をまっすぐに見つめる誠実さと強さ、痛みや弱さから目をそらさずに向き合い、芸術の中にそのすべてを落とし込んで昇華してくれるところ、本当にすばらしいね。
出力されるもののスタイルは違えど、驚くほどの高次元の美しさの中で痛みや悲しみを包み込んでくれる様には高橋さんとも通じるものを感じます。

1/27 高橋徹也×小林建樹ツーマンライブ 小林建樹セットリスト
1 M&R&R(Album_Mystery)
2 Love(Album_Mystery)
3 進化(Album_Rare)
4 ヘキサムーン(Album_Music Man)
5 告白(Album_Shadow)
6 誓い(平原綾香さんカバー)
7 イノセント(Album_Music Man)
8 最初のメロディー(Album_Blue Notes)
9 Spider(Album_Emotion)
10 祈り(Album_Rare)

圧倒的な美しさで我らを虜にしてくれたところで、前半パートは終了。「ありがとうございました、次は高橋徹也さんです」との呼びかけとともに、しばしの休憩タイムへ。

いやあ、まったく予想なんてつくはずもないすごいパフォーマンスで2023年のさらなる進化系の建樹さんだった。
タカテツファンの皆さん! これが! これこそが2023年の最新の小林建樹です!!!(なんであなたが偉そうなの。笑)(だってめちゃくちゃ誇らしくて嬉しかったんだもん)
おお、早速物販で建樹さんのCDを買った人がたくさんいるみたいだ! そうだよね、こんなライブ見せられたらね!
めちゃくちゃ喋りたいのに電波が入らないw し、今回はお知り合いに会えずにボッチだったので強制的にお口チャックのまま、しばしの休憩タイム。
さあて、ここからは後攻高橋徹也さんの登場です!

 

さて、ここからが後半戦! 舞台の幕が降りるような静かな美しさの中、エレキギターを手に高橋さんが登場。
ややゆったりした白いシャツにジーンズの装いは大学生のようなさわやかさ。この人は本当に永遠の文学青年ですね。流行に左右されないオーソドックスで良質なものを選び抜いたファッションスタイルは音楽の姿勢にも反映されているよう。
SEの流れを汲んだように静かに始まるのは「Black bird」!
屈指の名曲はいつ何度聞いてもすばらしい。ここから高橋徹也の奏でる音楽の世界という静かな夜の海への船出が始まるんだ、と期待を膨らませてくれるようだ。
創作の源にヘミングウェイを初めとする海外の文豪の存在は大きく影響しているのでしょうが、高橋徹也という芸術家の非凡な才能、誰にも似ていないこの崇高な美しさを称えた歌声と旋律は「誰一人到達したことのない美しい場所」へとわたしたちを誘ってしまう。孤高の天才、ここに極まれりですよね。音楽という芸術でこんなことを成し得てしまう人がいるだなんて、という衝撃はいつまで経っても醒めることなんてないのです。
続いて、流れるような流麗な美しさで歌われる「八月の流線形」の軽やかな開放感と安らぎ。夜に生きるもの~ベッドタウンや大統領夫人あたりのとてつもない閉塞感を思うと、この変化にはびっくりさせられますが、この風通しの良いやわらかな心地よさは「いま」の高橋徹也の魅力なんですよね。
もしや対バン相手である建樹さんの楽曲の心地よい軽やかさを意識してこの流れで来たのかな?? 建樹さんがロックモードを打ち出してスタートしたのとは対照的ですね。
ここで一息ついて、ご挨拶のMC。

「どうもこんばんは、高橋徹也です。きょうは絶対寒いとか言いませんよ」

あまのじゃくだな!笑

「自分はなぜ9割くらいワンマンかと言うと……単純に言うとあんまり親しいミュージシャンがそれほどいないんです。きっと小林さんもそうだろうな、俺以上だよなって。それで『そうだ、あの同級生のよくわかんないかっこいい人がいたな』って思ったので久々に連絡をしました」

同時代のシンガーソングライターであり、共に鹿島達也さんがサポートに入っていたご縁があったことでおふたりには昔から接点があったそうですが、初共演は約10年前。
初めてのツーマンが決定した7年前にはそれはもう驚いたものですが、高橋さんってここまで建樹さんを意識してくれてたんだ? と、ご本人の口から聞かせていただけると両者を大好きなわたしはそれもう嬉しいびっくり。
(余談ですが、曽我部さんとも繋がりがあって「曽我部くん、高橋くん」の関係性だったのにはすごく驚きました。また共演してほしい……曽我部さんとさわおさんはわたしの二大スターです)
のちのご本人を前にしてのラブコールもそうですが、互いに角度や深度は違えど、『好敵手と書いて友と読む』というライバル意識のようなものをお持ちだったのかな。
それにしたってこれだけかっこいい人に「よくわかんないかっこいい同級生」と言わせる建樹さんの実力!(なんでわたしが得意げになるの。笑)
しかしこのトークの流れ、タカテツと初めて出会う建樹さんのファンのみなさんにも非凡な存在感を見せつけてくれますね。
やがて話題は「レコードのB面にこそ名曲が多いなと昔から惹かれていた、自分のデビュー曲もカップリング曲にこだわりを込めて作った」と「サマーパレードの思い出」へ。

「きょう初めて見る人もいると思うので……シングルやれよって話なんですけど」

ほんまやな。笑
建樹さんファンのみなさん、高橋さんってこういう人なんです。建樹さんとはちがう角度に鋭角でおもしろくてかっこいいでしょう?笑
My favourite girlの頃の売り出し方を見てると、当時の高橋さんっておそらくは(長身でハンサムだし、すごくおしゃれだし)オリーブ少女を卒業した大人の女性たちのあこがれのボーイフレンドで遅れてきた渋谷系っぽい売り出した方だったのかな?? ジャケットもそんな雰囲気ですもんね、などと思ったり。ロマンチックできらきらしたこの曲をいまの高橋さんの成熟した魅力と大人の色気で表現してくださるの、たまらないね。
続いて「Blue song」へと流れていくんですが、おそらく意識的だったキャッチーでポップな部分がすこし影を潜めても、根底の美しさと物語性が地続きに聞こえてくるよう。高橋さんはどこまでも美しい人だな。
楽曲の根底には共通性を感じられますが、歌詞の世界の憂いを帯びた儚く優しい美しさは異なる部分かな。
自分の感情の中でも、不都合としかいいようのない悲しみや痛みや戸惑いから決して目を逸らさない、それらすべてをあたたかく穏やかなまなざしで見つめながら美しい音楽の中に閉じこめてしまうところ。
出力されるものは異なっていても、わたしが建樹さんの音楽と高橋さんの音楽に感じる「美しさ」の源泉には重なり合う部分があるのかもしれない。

「自分の友達や周りには猫好きが多いんですが、子どもの頃は犬を飼っている人のほうが周りにも多かった気がします。いまは世の中では猫のほうが人気のようだけれど僕は完全に犬派で、秋田犬や柴犬が特に好きです。そんな自分なんだけれど、30年以上作詞作曲をやっている中で、周囲の人の影響もあって初めて猫が歌詞に出てくる曲を作りました」

ここで披露されたのは「無口なピアノ」
みんなたち「えっ、猫とホテルじゃないの!?」

どちらもレコーディングがまだなので、音源化が待ち遠しいですね。
それにしても「友達がいない」はずの犬派の高橋さんに猫の登場する曲をかかせるようなご友人の存在がいるのはとても素敵なことですよね。
孤高ではあるけれど、決して孤独ではないのだということ示しているようで。
澄み切った静けさに聴衆を見事に包み込みながら、「夜は優しく」~「la fiesta」の流れへ。
いやあ、アップテンポなロックナンバーを敢えて封印したのかな? という感じのメロウな曲が続きますね。高橋さんの詩人のような世界観を堪能させてもらった、とは建樹さんファンのお友達のお言葉。
まるで昼下がりの野外映画のような物語性の高い美しさだ。高橋さんのもつ「遠景の音楽」としての側面が強く打ち出されているように感じられます。

「例年大晦日スタパのお昼のライブに出ていたんですが、去年は事情があって出られなくって。きょうは大晦日のお昼下がりの雰囲気をフラッシュバックするような感じで」

なるほど、昼下がりのようなメロウでダウナーな優しい空気はその点をふまえていたんですね。それにしても日本の音楽家でこんな表現を奏でられる人、ほんとうにこの人ただひとりしかいないよね。「la fiesta」のこの情熱と静けさを両立させた美しさ、ほんとうに大好きだ。(この「喜びはいつも痛みの中に」ってとてもシンプルかつストレートな言葉を軽やかに響かせてしまうところ、改めて圧倒されました)
まさしく「ある種の熱」!!! こんなにもご自身の楽曲の根底にあるテーマを美しい言葉に落とし込めるだなんて、高橋さんはどれだけ深い言語能力と洞察力をお持ちなんだろう。

「どうもありがとう」
(この言い方めちゃくちゃ美しかったですね、歌うように軽やか)
「よし、じゃあ奴を呼んでみましょうか。きのう誕生日を迎えた愛すべき同じ歳! 小林建樹!」

ここで、満を持して呼び込まれた建樹さんがピアノへと。

高橋さん「いろいろと勝手なことを言ってしまいましたが……」
ファンのみんなたち(大体あってる!笑)
高橋さん「こうして久しぶりにお会いできて一緒にセッションの練習なんかも出来て」
建樹さん「いろいろね、お互い流れに身を任せてきましたが――真面目になりましたよね」

両者、愛想笑いを交わしあうがなんだかすごくぎこちない。笑
建樹さんの方からはひしひし「ええからはよ演奏させて」オーラを感じるぞ!笑

高橋さん「僕は真面目ですよ? 小林さんも相当じゃないかなぁ」
建樹さん「そんなことないけど……」

「真面目ですね~」って言われるくらいものすごく練習する人なのにね。照れ隠しなのはみんな知ってるのやで。

高橋さん「僕は小林さんとは電話して話したりとか一緒に食事に行ったりとかはしないんですけど、ふとした時に小林さんどうしてるかなって意識してますよ。どうですか? 僕のこのラブレターは」
建樹さん「いやあ……まぁ和音――コードとかはね、共通点感じますけど。こういうのが多いじゃないですか」(ここでさらっとピアノを弾く)
高橋さん「それはちょっとあなたに言われたくはないかなぁ」

舞台俳優のような澄んだ美声での美しいせりふ回しに、いつも通りだけれど明らかにぎこちない声色の関西弁まじりで答える建樹さん。
このおしゃべりのトーンもテンションもまるでちぐはぐなふたりの噛み合わない会話、おもしろすぎるぞ!笑 さながら作画のちがうマンガのキャラクターが同じ画面にいるみたいだね。
冗談を交えながらも、話題は再会までの7年あまりの時間について。

建樹さん「世の中ずいぶん変わってきたので、合わせるのか自分の道を行くのかの戸惑いがありました」
高橋さん「周りから見れば100パーセント我が道を行っているように見えるかもしれませんが、そういう人にも迷いがいろいろあるんですよね」

同意を示しつつも、なんだか噛み合わない?笑
(このくだり、おそらく高橋さんは意図しないまま、すごく重要なお話が引き出されていましたよね。わたしは後になって「カナリア」の歌詞を思い出しました。カナリアとソングライターが2022年にやっと音源化されたことは「いまこの時」に届けたい歌になったからなんだろうな)

建樹さん「いまいち盛り上がらない……w」
(鍵盤に手をおいてすでに準備に入っている)
高橋さん「もっとしゃべってくださいよ」
建樹さん「決めきってライブをやるのでアドリブに弱いんです」

ライブに備えて曲順からMCの内容まで完璧に決めて何度も通しでリハーサルをする、とおっしゃってますもんね。
自由気儘に見えるけれど、実はとてつもない努力と鍛錬の積み重ねで完成させてくるのが建樹さんのパフォーマンスの秘密なんだなぁ。ローリングストーンズのような予定調和ではない不協和音のセッションが好き、という高橋さんとは対照的ですね。
やがて、デビュー時期は高橋さんのほうが数年早かったという話に。

高橋さん「じゃあ僕が先輩風ふかしちゃっていいですかね」
建樹さん「いいですよ」
高橋さん「や、冗談ですけど」

戸惑ってる!!!笑 
いい感じに受け流してくれる山田さんとは違うよねそりゃ。それにしたって主催者である高橋さんにめっちゃ圧されているぞ、こんな建樹さんすごくレアだよね。いつもはみんなを置いてけぼりにする側なのに。笑
ここで披露されたのは「みんなが喜んでくれると思って準備してきた」という「新しい世界」
これがほんとうにイントロの入り方から斬新でみずみずしくって素晴らしかった!
建樹さんの抜群のリズム感で音符の上を跳ね回る、即興性を感じさせるピアノと高橋さんの音楽性ってびっくりするほど相性が抜群だ。のぼりつめていく音の心地よさが極上なんです。
それにしたってなんでこんな歌がうまい人が後ろでピアノ弾いてるねん、おかしいやろがい(ごめんなさい。笑)と思っていたところ、「離さない♪」のくだりからコーラスが入り、そのまま二番は建樹さんが!
声質も歌い方もぜんぜん違うのに(建樹さんはおしゃべりと歌声の両方に独特な抑揚がありますよね)あまりにも美しく、曲の世界観を完璧に乗りこなしている!!!
いやあ、ライブに先駆けての予習だったムーンシャインキャッチャーRでの「ハロウィンベイビー」と「Feeling Sad」も衝撃的でしたけど、ほんとにすごい、「新しい世界」のあまりにも鮮やかな扉が開かれてしまった。

youtu.be


(ていうかラジオは予告とちゃうくて豪華すぎる「歌ってみた」やったんかーい! ってお友達とめっちゃ突っ込んだ。笑)

この恐ろしく難しい曲をピアノを弾きながらここまで完璧に、完全に自分の表現へと落とし込んで歌える人がこの世にいたんですか!?
パートごとに交代し、コーラスで重なり合い――あまりに完璧な構成にこちらはもう唖然としてただ聞き惚れるしかない。
ピアノの伴奏から歌から、ただ「カバーした」の領域を遙かに越えてあまりに堂々とかつ悠々と曲の世界を自身の色に染め上げて泳いでいるんですよ。こんなすごいセッションみんな見たことある? わたしは初めてだよ!
たびたび共演している親友、山田さんの『良き伴走者』としての役割とはまるで違って、高橋さんにとっての建樹さんは見たことのない景色を繰り広げ、風穴を開けるかのように楽曲に新たな命を吹き込んでしまう恐るべし『競演者』なんですね。
ラジオでもおっしゃっていた「同じようには歌えない、違う人なんだなぁと思った」という異なるアプローチでの『歌』の魅力が見事に生きている。
聴衆をあまりの驚きと感動で唖然とさせたところで、建樹さんはここで一旦退場。

高橋さん「いやあーー自分以外の人が新しい世界を歌っているのを初めて見ました。おもしろいものですね。オトコマエでした」

対バンの経験は数あれど、よりによってあの大曲に挑む人はいないですもんね。しかも「ただ歌がうまい」のレベルを遙かに越えた怪物みたいな人ですから。

高橋さん「40代はアルバムを四枚出して、ほかにも色々なリリースが出来てすごく充実な時間を過ごせました。とりあえず50までは頑張ろうと思っていたらここまでやってこれて――きょうは無礼講だけれど、あまり昔のことばかり話すのはかっこ悪いでしょう? なるべく未来のことを考えたいといつも思っています」

過去に囚われていてばかりではいけない、と自分を律した上で未来を見つめて居たい、そんな新作のアルバムを今年はリリースしたいとのこと。
おお、高橋さんもまた『未来の自分が生み出す音楽』へと希望を託してくださっているのですね。
先月の建樹さんがライブで聞かせてくださった『人生の土台はいまとこの先の未来にあることに気づいた、だからこそ未来に希望を託せるように歌をうたっていきたい』というニュアンスのお言葉と重なりますね。
最後に披露された「怪物」は20代の自身へのアンサーソングだとのことですが(確かに夜に生きるもの~ベッドタウンには満ち溢れる狂気を感じますもんね)持て余してしまうほどの鋭く強すぎる感受性と焦燥感と痛みの中でもがく姿、そこから解き放たれて軽やかに、のびやかに音楽を鳴らすようになった姿は建樹さんと高橋さんの双方に感じます。この怪物たちふたり、個性は全く違えどお互いにシンパシーを感じられる部分はあったのかもしれないな。
ここで本編は終了、すぐさまホストである高橋さんがステージに。

高橋さん「きょうは本当に2023年のいいライブ初めになったと思います。来ていただいて、配信でご覧いただいてありがとうございます」

最後にこの人と、この男とセッションを、と満を持して建樹さんが呼び込まれます。

建樹さん「きょうすごく寒かったので」
高橋さん「それは禁句で」
建樹さん「なんでかっていうと候補日の中で27日は僕の誕生日の翌日なんですって言ったらいいですね! って言ってもらえて。嬉しいなぁって思っていたらどんどん道が凍ってきたからもっと早くしておけばよかったんかなって。笑 禁句ですか? これは」
高橋さん「いいえ、そんなことないですよ」

あ、若干慣れてきてる!笑
セッションがすごく楽しみだったという建樹さん

建樹さん「こういう真面目じゃなくて癖のある声の人に自分の曲を歌ってもらいたかったんです――99年の曲で、デビュー前の研修期間みたいな頃に提出した曲なんです」
高橋さん「代表曲のひとつですよね」
建樹さん「R&Bシンガーって言われたことありますからね。デビューするといろんなカテゴライズをされちゃうもんなんだなぁって」

(もしや満月では!?)

高橋さん「ソロシンガーってバンドマンと違って横のつながりがなくて孤独なんですよね……シンガーソングライターは互助会が必要ですよね」
建樹さん「バンドマンと違ってそれぞれに宇宙があるから」

と、やっと会話がかみ合ってきたのにw 話がかぶってしまう事態がここで発生。

高橋さん「かぶったことに気づくぐらいになりましたね」

歌ってもらえることになって本当にうれしかった、という建樹さん。
前回は高橋バンドに加わっての一曲のみだったのが(「微熱」のセッション)今回は高橋さんの声で歌ってほしい曲をリクエストしたっておっしゃいますもんね。
ここでちょっと言わせてほしいんですけれど、これは先月の建樹さんのワンマン後のわたしの発言です。

ただの偶然だと思うんですけど、言うてみるもんやなって笑

高橋さん「タイトルに出てくるフレーズが最初は出てこないんですね、そこが素敵だなって」
(満月じゃん!!!)

なんでこんなにさっきからうるさいのかというと、わたしの中での「高橋徹也の声で聴きたい小林建樹の曲」のナンバーワンは満月で、7年前からずっと熱望していたんです。

高橋さん「小林さんのファンのみなさん、すごく大目に見て下さい」
「そんなことないよ!」(ほんとうに小声で言いました、ごめんなさい。笑)
建樹さん「それでは聴いてください。やっと歌ってもらえます。『満月』」

高橋さんの澄んだ美声でのあの美しいハイトーンの歌いだしがフロアいっぱいに流れ出した瞬間、空気の色がみるみるうちに変わるよう!
主旋律を建樹さんが歌い、そこにかぶさるように高橋さんの歌声がふわりとやわらかに響くさまは夢のようで、現実だとはおおよそ信じられない。
コーラスに、ユニゾンに、と変幻自在に表情を変えながらあの美しい澄んだ声が響き、建樹さんの声と重なり合うことでとてつもない魔法が生まれている!
いやあ、「新しい世界」で開かれた扉の更に向こう側がこんなにも鮮やかに繰り広げられてしまうだなんて。7年前のわたし、おめでとう! おまえすごくセンスがいいぞ!笑
建樹さんのイノセントな情熱は高橋さんのどこまでも澄んだ清らかな美しい声で歌われることで、ここまでの新しい次元の扉を開いてしまえるんですね。
曲の世界をご自分に引き寄せて乗りこなしてしまう建樹さん、静かに降りていくことで歌の世界と合流する高橋さんというアプローチの違いが見えるよう。
ここまでお互いの持てる力を最大限まで高め合い、目の前の世界をたちまちに塗り替えてしまうような奇跡のセッションがあるんですね。それなりに長く音楽ファンをやっていますが、こんな瞬間を目撃したのは生まれて初めてです。
皆が感動と興奮の余韻がおさまらない中、高橋さんのライブではお馴染みの写真撮影タイムへ。
ぎこちなくアイコンタクト→高橋さんのほうから手を取って握手のながれに我らはみなにっこりしながら夢中でシャッターを押しまくりました。

 

「皆さん最高です、また会いましょう」の言葉と笑顔に包まれるようにして、本編は無事終了。
さて、感動と興奮でじゃっかんの千鳥足になりながら物販に行くと建樹さんのほうはCDが全部売り切れ! そりゃそうだよ、あんなすごいライブみたらみんなファンになっちゃうもん。奥が建樹さん、手前が高橋さんだったため、まずは建樹さんのほうからご挨拶させていただくことに。

「建樹さん、CD売切れちゃったみたいなんでプレゼントだけお渡しさせてください。お誕生日おめでとうございます、それと早めのバレンタインです」
(おふたりの楽曲のイメージのハンカチ+@とバレンタインチョコをそれぞれにお渡ししました)
「去年のライブも毎回新しい建樹さんの表現が開かれていくのを見せていただけて、本当に素晴らしくって。どんどん進化し続ける建樹さんに出会えて本当に嬉しいです、素晴らしかったです。今年もほんとうに楽しみです。高橋さんの歌う満月が聞きたいって7年前の共演の時からずっと夢見てたんですけど、配信に有観客のライブにソングライターの音源化に満月にってわたしの夢が全部叶ってほんとうにびっくりしてうれしくて」
遠慮がないのでツイッターと同じ勢いでご本人の前で話すオタクです。笑

建樹さん「どなたですか?」
(えっ!?)
一瞬なんのことかわからなかったんですが、ツイッターのハンドルネームのこと!?
「あの、ハンドルネームですか? はずかしいのでこの場では無理です! お手紙に書きました!笑」

みなさん、サインの名入れ以外でアーティストさんにお名前を聞かれたことってありますか? わたしは生まれてはじめてでした。笑
(どうもわたしの前後の方にもお名前を聞かれてらしたようです。ツイッターでふだんからやり取りしてくださいますからね、気になりはったんかな)

これからも楽しみにしています、とお伝えした後は高橋さんの方へ。
待っている間に漏れ聞こえる会話もみいんな、とても丁寧で心のこもったお優しいものばかり。こういう時ってサインを書く1分くらいの時間で終わりのことがほとんどなのに、おふたりともおひとりひとりとすごくじっくりお話してくださってます。お優しい~!
おふたりそれぞれに「初めて見たけれど素晴らしかった」とお伝えする人、20年以上前から建樹さんがずっと大好きだとお伝えする人、5日の鹿島さんのゲスト回に行きます、と高橋さんに伝える人が多かった印象かな。お誕生日プレゼントを渡されている方もたくさんいらっしゃるよう。

「また一緒にライブやってくださいね!」
「4年後くらいに」
「オリンピックw」
(もうちょっと詰めてほしいよねえ)
「ツアーとかもやってください」
そんな中、前で高橋さんとお話されているのはフォロワーさんだぞ。

あきさん「タカテツさん、小林さんともごはん一緒に行ったりとかしましょうよ~」
高橋さん「うーん、それは」(口ごもる)
「よし、山田さんに間に入ってもらいましょう!笑」

あきさんとおふたりの会話がかわいすぎてわたしはずっとニコニコしながらがまんできずに後から援護射撃をしてしまった。笑
それが許される優しい空気だった、ということに尽きるんだよね。

「4年ぶりに会場で見させていただきました。高橋さんは、良い意味で変わらないまま、研ぎ澄まされた不変の美しい音楽を鳴らしてくださっていることに感激しました。素晴らしかったです。さっきも話してたんですが、わたしの念願だった満月も新しい世界も最高に素晴らしかったです。実は先月の建樹さんのライブで建樹さんにお願いしてみたら『歌ってくれなさそうだけど』って言われたんですけど。笑」

思わず口が滑ったw けど場の空気は和やかです。

「建樹さんファンのお友だちが高橋さんってどんな人なの? って興味を持ってくれたからyoutubeやおすすめの曲を教えてあげたらすごくカッコいいねって言ってくれて、おふたりとも大好きだから本当に嬉しかったんです。共演してくださって本当にありがとうございます」

新しい音楽に出会うきっかけが生まれるって、本当に嬉しいですよね。

「高橋さん、遅ればせながらお誕生日おめでとうございます。プレゼントと早めのバレンタインです。高橋さんはこんなにかっこいいのにかわいいものがお好きなのでわんちゃんです(わんちゃんのイラストの可愛いチョコ)、でもって上野に行ってきたのでパンダです!」

テンションが上がってきたのでプレゼントを解説するわたし。笑(パンダのメモ帳を美術館で買いました。笑)
高橋さんからはしばらくライブに行けなくて持っていなかった夜に生きるもの/ベッドタウンの20周年エディションを購入させていただき、終始和やかに嬉しそうに接してくださるお二人に目一杯に感謝をお伝えしたのちによろよろとホテルまで帰りました。

当日はとにかく胸がいっぱいで心がふわふわして、感情が赴くままにこの気持ちを話さなければ気が済まない! となっていたのですが、翌日までその余韻はいつまでも醒めず、道を歩きながら幾度となく涙ぐんでしまうほど。
あんなにも素敵な人たちに出会えて、大好きになれて、わたしはなんて幸せものなんだろう。
お二人の生み出してくださる音楽が心から大好きです。7年越しに届けてもらえた夢のような時間に、心から感謝しています。

僕の夢が叶うのは誰かのおかげじゃないぜ。おふたりともほんとうにありがとうございました。
 

ameblo.jp

手応えと喜びを感じてくださったのなら何よりです。
しばらく制作モードに入るとのことですが、そろそろツアーをやってほしいなぁ。
「お互いの現在地を確かめ合う場」をとおっしゃってくださるのは嬉しいな。我らはわがままなのでもうちょっと間を詰めてくれてもいいんですが。笑
 

 
音楽ではあんなにもしっかり噛み合って化学反応を巻き起こしているのにおしゃべりはいまひとつ噛み合わなくて会話がドッチボールになるの、最高でしたね。笑
やっぱりあの夢のようなセッションはお互いに大きな刺激になったんですね。またどなたかとの共演が見られるといいのになぁ。
(真面目じゃない癖のある声、と評されていたのが「声が綺麗」とセッションを経て素直な表現になられているのがなんだかおもしろい)
(思い切り余談ですが、「声綺麗わぁ」が可愛すぎて、お母様もしゃべり方同じなんやろなってめちゃめちゃほっこりしました。笑)
そして建樹さんも制作に入られるとのこと! うれしいなぁ

振り返っている間も胸がいっぱいになってしまうような、本当に素晴らしい時間でした。そしてこの夢のようなライブは、まだ配信で見ることができます。

『高橋徹也 × 小林建樹』のチケット情報 - イープラス
わたしもあと何回かは期限ぎりぎりまで観ます!

本当に家に帰ってから毎日見てたんですけど、こんなに配信終了を惜しむ声が上がってみんながリピートしまくる配信ライブ、そうないぞ。
今後も配信は続いていってほしいなぁ。


書きたいことがありすぎて端折ることが一切出来なかった。笑 ので本当に長くなってしまいましたが、ここまで読んでくださりありがとうございました。