午前三時の音楽

ライブの感想などを書いています

小林建樹ワンマンライブ「BLUE MOON ~不思議な夜をご一緒に」 9/9 名古屋COTAN

東京でのライブを行った一週間後に地方でのライブ、といった形式で行われるのは4月の東京/神戸と同じスタイル。
配信で東京公演を繰り返したっぷり楽しんだ翌週には現地に参加できるだなんて、つくづく贅沢な時間を過ごさせてもらったな、という感慨で胸がいっぱい。

10年ぶりの名古屋公演ということで、いつも以上の気負いはあった様子ですが、終始和やかであたたかな幸福感に包まれるような時間に感じられました。
さてはて、拙いプレーバックのはじまりはじまり。

※メモなどは取っていないうろ覚えですので、細やかなニュアンスは皆様で脳内保管してください。

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配信で見た東京公演の感想はこちらからどうぞ!



会場は駅から直結(なんと、階段を登っていく途中にある!)、アクセス抜群な沖縄料理屋さん。
心地よくアットホームなおしゃれな空間で、種類豊富なドリンクの他にはゴーヤーチャンプルーやカレーなどのフードも充実していてなんだかわくわく。
おお、物販に噂の(?)アクリルスタンドが!

わたし「高橋さんのファンの間でアクスタがほしいって話題になってたんですけどまさかの建樹さんのアクスタが出てびっくりです(笑)」
スタッフさん「すっごく背が高くてすらっとしてらっしゃいますもんね〜。(笑)立ってるやつはなんか違うかなってなってこんな感じにしてみました」

さりげなく飾れる感じが素敵ですよね。

わくわくおしゃべりなどしながら開演を待ち、定刻の18時半過ぎに建樹さんが登場。
東京公演と同じくブルーのアロハシャツにジーンズ、グレーのニューバランス、首元には配信では見えなかったウッドビーズのチョーカー。
ギターをかき鳴らしながらひとたび歌い出せば、たちまちに身体中がびりびり震え出すような音の洪水に全身が喜んでいるのを感じられて魂が震えます。
自分のタイミングでおうちから参加して繰り返し見られる配信もすごくありがたくて楽しいけれど、鼓膜を伝って細胞まで震えるような文句なしの心地よさ、カメラ越しでは伝わらないまなざしの煌めきや生き生きとした表情をこうして間近で受け止められるのは生で観させてもらうライブならでは!
とにかくこの気持ちよさに浸りたい、と目を瞑って聞き惚れ、目を開いてプレーに見惚れる、という二部構成スタイル(笑)を行ったり来たり。
10年ぶりの名古屋公演が実現したことはやはりかなり肩に力が入っているのか、時折やや走り気味になるペース、歌詞が飛ぶ、などのトラブルもありますが、その揺らぎすらこの一期一会のライブの醍醐味を感じさせてくれるよう。
同じ曲目、同じ流れのMCの実質的な再演とは言え、場所と時間が変われば当然ながら生み落とされるものは同じにはならない。
特に曲と曲の間に挟まれるこぼれ話のようなおしゃべりは東京公演よりもややリラックスした雰囲気に聞こえたのですが、今回のこのライブを通して伝えたいメッセージ・コンセプトをきちんと受け止めてもらえた安堵感や、地方公演ならではの高揚感とアットホームな歓迎ムードがそうさせていたのかな。
全身で音楽を奏でているかのような力強いパフォーマンスでびっしり汗ばみながら歌う姿はたまらなくかっこよく、大人の色気もふんだんに味合わせてくれながら、ふっと溢れる心底心地よさそうな優しい笑顔やおしゃべりの場面でのやわらかな語り口はたまらなくキュート。
独特なハイトーンの伸びやかで力強い歌声の中に様々な表情を潜ませてこちらを翻弄してくれる様といい、本当に奥深い魅力のある方だよね。
かっこいいと可愛いとセクシーを毎秒ごとに自在に行き来するから脳が混乱してくるんですよ。みんなもわかるよね?笑

(From yesterdayについて)
「これはサビのない曲で、こういうーーyesterday〜♪ あれっ、歌詞が飛んだ! たくさん練習したのになぁ。笑」

すぐ持ち直してらっしゃいましたが、ご自身でもびっくりされていたよう。笑

「これは『昨日』を紙屑に例えた歌詞なんですね」

さりげなく手の内を明かすように話してくださるんですよ、興味深いなぁ。

タイプの違うように思えるcau cau〜From yesterdayのつながりもそうですが、曲と曲とのつながりが毎回ものすごく練られているのに関心させられます。
楽曲に込められた世界や狙いをこちらへと明かしてくださる軽やかでユニークなMCを挟みながら、みるみるうちに生み出される世界の中に手招きをしながら引き込まれてしまう。
弾き語りでのスタイルに削ぎ落とされたからこそ際立つ独自のメロディラインの美しさと、ここにきてますます持って高められていく歌の表現力の深さが改めて全身に染み渡ってくるよう。
感情と五感を震わせて何倍にも増幅させるような不思議なこの力こそ、「曖昧な引力」なんだねきっと。
我らはもうずっとこの曖昧な引力に導かれるままに建樹さんの生み出す音楽世界に恋していますよ。

とにかく感情がフル稼働させられるのが建樹さんのライブですが、当たり前ではあるけれど、生で観させてもらうのと画面越しでは感じるものがまた全然違うな、というのを再認識しました。
画面越しでの初見の時にはパフォーマンスに込められた想いをどう受け取るのか、咀嚼することに脳がフル回転させられたのですが、わたしにとっては一度『核となるメッセージ』を受け止めさせてもらってからのライブであり、おそらく建樹さん側にも『会場に/画面越しに』集まってくれたお客さんに思いがきちんと届いた、と実感を得られてからのステージになるのでおのずと心の余裕は生まれるし、体と心がただひたすらこの音楽体験を喜んでいる。
溢れるような多幸感がもう半端ないや。

様々な角度から心の内を照らし出し、神秘的な夏の終わりの夜を切り取るステージは新曲「魔術師」の描き出す力強くミステリアスな世界が放たれる事でますますヒートアップ!
Silenceのどんどん高まるボルテージとアカペラで歌う場面の力強さ、演奏されるたびに新たな色を見せてくれるデビュー曲「Sweet Renndez-Vouz」と、とんでもない興奮と感動を繰り広げていく事で前半パートは終了。

余談ですが、10年前のライブでは「当時のいろんな心境が詰まっているから、一時期は歌えなくて避けていた」との発言がありました。
その際に「今回はバンドでのライブだけれどひとり寂しく歌います」とピアノでアレンジされたSweet Renndez-Vouzがそれはもう素晴らしかったので、あれをまた聴きたくてたまらないや。


さて、ものすごくものすごくてすごい……からホカホカのうちにお話ししたいけれど電波が入らないや。笑
でもきょうはお友達とお会いできたからこの感動をお話しできるんです! うれしい!

ぼく「どんだけ歌うまなるんってびびるんやけど……天井しらずやで」
あさこさん「曲のつながりが気持ちすよすぎてこれで酒が呑める」

熱中症気味だった僕が追加のドリンクを頼む中、あさこさんは元気にお酒のおかわりを頼んでいらっしゃいました。笑


さて、ここからはピアノに移られての後半パートですが……おお、東京と衣装が違う! 明るいエメラルドブルーで羽根模様がプリントされた白いシャツがとても爽やかでお似合いでいらっしゃいます。
「祈り」は何度聞いてもほんとうに心にまっすぐに届きますね。
演奏を終えられた後、ほっとした表情で鍵盤の上でふわりと掌が舞うあのお馴染みの仕草がまるで、無事に歌えた事への音楽の神様への感謝を捧げるお祈りのように美しかった。
流れるままに、提供曲「灯台」〜「夏の予感」〜「3minutes」の聴かせるナンバーがフロアを魅了してくれます。

「前に名古屋に来た時にはバンドで、リズムで沸かせる! って感じの人たちやったんで……(宮川剛さんと千ヶ崎学さん!)バラード3連チャンはちょっと勇気がいったんですよ」
アップテンポな建樹さんも最高にかっこいいんだけどね。バンドでもやってほしいな〜!

(「灯台」について)
「すごくよくできた曲だなぁと思って……いっぱい練習したんです。うまく歌えてたでしょう?」(はにかみ笑顔)

うん、ものすごくとびっきり!笑

東京公演という『練習の成果』を発表した場を終えてからの地方公演には、旅の楽しみと高揚感もおありのご様子。

「名古屋は今やってる『どうする家康』の舞台じゃないですか。すごくテンションがあがっていて。大河は真田丸から熱心に見てるんですが、ほんま家康はどないするんやろ〜って夢中で見てます。こないだ用事で江戸城の方に行ったんやけど、ここに松潤おってんなって思いました」

聖地巡礼だ。笑

(「君たちはどう生きるか」の音楽に感銘を受けた事、ジブリ映画について)
ジブリの映画で初めて観に行ったのは高校生の時に神戸の映画館で観たトトロが初めてでした。僕は同時上映の火垂るの墓が目当てやったからトトロってどないやねんと思ったら映画館の中を子供が走り回っていて」
会場内、どっと笑い声があがります。
「でもトトロめっちゃ面白くて、走りたくなるのわかるわ〜って。こんな音楽がエンディングに流れるんです」
(トトロのテーマソングを実演)
この時、建樹さんの視線の先にオーナーさんのお子様なのであろう小さなお客さまがいらして、嬉しそうにぴょんぴょん飛び跳ねているのが見えました。
わたしはこのタイミングで気づいたのですが、以降の曲の間もずうっとリズムにのって元気いっぱいに楽しんでいて、ほんとうにかわいらしかった。
あんな素敵なお客様の反応を見ながらの演奏、すごく特別な体験だったんだろうなぁ。

「次に観たのは大阪の映画館で観た紅の豚で、この時はお客さんは三人しかいなかった。その次はもののけ姫、ここからはもうストーリーにちょっとついていけなくなって」
ファミリー向けエンターテイメントを脱却して、ご自身の核にあるものを表現する芸術の方へと向かわれていきましたもんね。

しっとりと聴かせるバラードから一転、ピアノでこんな表現ができるんだ!? という天才的なリズム感と伸びやかに跳ね回る歌声はどんどんフロアを沸かせ、促されるままの手拍子とともに熱狂と興奮を高めていく「SPooN」で本編は終了。まもなくアンコールへ。

「今回はグッズを作りました。ファスナーポーチ、これは財布とかを入れるのにいいかんじです」
もっと薄い……マスクとかチケットとか向きでは。笑
財布がわりになるって意味かな?笑 聞き違いだったらごめんなさい。笑

「アクリルスタンド。こうやってね(譜面台の前に飾る)飾るとちょっといい感じでしょう」

ライブの記念になる&素敵なお写真を手元に見られるグッズ、良いものですね。

(新曲、「ペルセウス」について)
「今作ってるアルバムが結構重たい感じになってしまいそうで……ちょうどいい感じになるかなって」
発表されている楽曲を聞く限り、かなりストレートなメッセージで切り込んでいく内容のようですもんね。

ペルセウスの流れるような美しさ、満を持しての最初のメロディーのまっすぐ心に響く多幸感溢れる世界で本編はこれにて終了。
また来ますんで、の言葉にうれしくて胸がいっぱいになっちゃうね。
本当によかった、本当に……と思っていたら、あれっ?笑

(ピアノの前に座った建樹さん)
建樹さん「ここで、撮影タイムです(笑)」
スタッフさん「撮影された写真はSNSにアップしてください」


え、新しい! 高橋さんの影響ですか!?(笑)
みんな夢中で激写しまくります。



さて、ふわふわして足が震えますがこの嬉しい気持ちをお伝えして帰りたい!
並んでいる間の皆さんの愛の溢れるおしゃべりを存分に楽しみ、どきどきしていたら建樹さんが目の前に!

わたし「配信も素晴らしかったんですが、全身で浴びる音楽がほんとうに心地よくて……どれが、とはほんとうなら言えないんですが、最初のメロディがほんとうに素晴らしかったです。いまの建樹さんの気持ちを込めて歌いたい、と選んでくださったことにすごく感激しました」
建樹さん「嬉しいです、いつもありがとうございます」

それはぼくのセリフです、とがち照れしました。
今年はこれで3回目ですもんね、まさかこんなにお会いできるだなんて。夢じゃない、これは夢じゃない!笑
次は新作のお披露目ライブでしょうか? いまからすっごく待ち遠しいですね。

宮崎でのライブ以来9年ぶりだった、というあさこさんがラブをめいっぱいに伝えていらっしゃるのを待つ間、スタッフさんがお声をかけてくださいました。

スタッフさん「いつもありがとうございます、今日も来てくださってるなってお見かけするとほっとします」
わたし「わたしもです(笑)」

あさこさんと高橋さんのライブで会うたびに建樹さんにまたライブをやってほしい、高橋さんと共演してほしいと話していた事、7年前から高橋さんの歌う満月を聴きたいと夢見ていたため、夢が叶っておめでとうと言ってもらったこと(笑)、配信ライブをやってほしい、と口にしたらほんとうに叶ったうえに6年ぶりのライブがあまりに素晴らしかった事、「またやるって言うてたけど次っていつ〜?笑」と言っていたらまさかのほぼ4ヶ月おきのペースになっていること(!)、12月のライブにあまりに感動して、直後に会った建樹さんをまったく知らない友達に(笑)思いの丈を話していたことなど、ラブが止まらない。笑

わたし「20年前の建樹さんの音源に残されている表現も素晴らしいんですが、ライブ活動をこうして再開されてからの建樹さんが『いま』の表現であらたに向き合ったものを届けてくださることにすごく感激します。どんどん磨き抜かれていくんですよね」
スタッフさん「6年の間にコロナ禍もあって色々変化もありましたしね。そんな中で、また新たにアップデートされた、進化した表現になっているのがとても素晴らしいですよね」

ファンと同じ目線に立ってアーティストの表現に心から感動し、それらをわたしたちに送り届けるために尽力してくださるスタッフさんがこうして活動を支えてくださっているんだな、と思うとすごく嬉しい。
様々な事情で会場に赴けないファンがおうちからでも楽しめる配信を引き続き行ってくださるのも本当にありがたくて感謝しています、とお伝えさせていただきました。

本当に本当に素晴らしい時間で、名古屋旅行もすっごく楽しかったです。
行けてよかったなぁ、ほんとうに。


次は新作のお披露目ライブでしょうか? いまからすっごく待ち遠しいですね。

「BLUE MOON ~不思議な夜をご一緒に」 セットリスト


前半 ギターパート
1.COLONY(3rdシングル”青空”のカップリング曲) 
2.Am6(アルバム_Shadow) 
3.満月(アルバム_曖昧な引力)  
4.cau cau(アルバム_Mystery) 
5.From Yesterday(アルバム_Mystery)  
6.魔術師(新曲)
7.Silence(アルバム_Music Man)
8.Sweet Renndez-Vouz(アルバム_曖昧な引力)    


後半 ピアノパート
9.祈り(アルバム_Rare)  
10.灯台(提供曲) 
11.夏の予感(アルバム_Music Man) 
12.3minutes(アルバム_Rope)  
13.不思議な夜(アルバム_Rare)  
14.花(3rdシングル”青空”のカップリング曲)  
15.SPooN(アルバム_Rare)


アンコール
1.ペルセウス(新曲) 
2.最初のメロディー(アルバム_Blue Notes)


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ホテルでしみじみと感慨にふけってしまいました。
今回もまた、「夢やってんかな?」と思うくらいにすごく素敵な時間でした。


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めっちゃほんわかしたのでお伝えしてよかった。笑
ほんとうに素敵だったんですよ~。


tateki.net

緊張?! とびっくりしてしまう手応えの感じられるステージだったのですが、たしかに序盤は特に、ところどころ歌詞が飛んでしまう場面もありました。
その完璧じゃない生々しさもライブの醍醐味ですよね。
いよいよアルバム制作が大詰めと思っていいのかな? 楽しみです。