午前三時の音楽

ライブの感想などを書いています

大統領夫人は知ってる 高橋徹也/松崎ナオツーマンライブ@2015/02/06 晴れたら空に豆まいて

代官山、晴れたら空に豆まいては初めての会場。
和洋折衷のリラックスしたいい雰囲気の箱で(後方にはお座敷席もあるよ)、ステージを覆うスクリーンには映画コーヒーアンドシガレットが無音状態で再生されているというお洒落なムードの漂う中、まずはお馴染み? 鹿島達也さんを含めた(今日はWヘッダーですね!)男性陣三人のバックメンバーを従えた松崎ナオさんが登場。
グランドピアノの澄んだ音色と、張りのある力強い歌声。繊細で力強く色鮮やかで、ぐっと観る側を引き込む力にあふれているなぁというのが今回初めてステージを観ての印象。
張りつめていて澄んでいて、空気の色をたちまち塗り変えていくようなヴォーカルのこの力はどこか今回の対バン相手である高橋徹也の世界観にも通じたものを感じるし、キーパーソンといえる上田禎さん・鹿島達也さんがこの二者の音楽に関わっているのも納得なのかも。
ドキュメント72時間のテーマソングでお馴染みになった「川べりの家」が序盤早々に披露された後は、ピアノからギターに持ち換えてのパフォーマンスだったのですがここからの俄然ロックモードにギアチェンジしての演奏がまたかっこいい。
爆音をがんがん鳴らしてヒートアップしていく演奏に全くひけをとらない一本芯の通った力強い歌声が切々と紡がれるその様は、音楽に乗せて魂が解放されている事を否応なしに伝えているようで、どこかスリリングに感じるほど。
一曲一曲終わる度に子供みたいに無邪気に「ありがとぉ」と伝えてくれる姿にはどこかほっとしたり。

天才肌シンガーソングライターはMCもやっぱりおもしろい。(うろ覚え故、行かれた方は各自で補完してください~)

松崎さん
「去年初めて高橋くんと会いまして、今日ライブ見せてもらうの初めてなので楽しみにしてました。今日はお客さんも高橋くんの番になったらみんな一斉にこう立ったりする感じなんでしょうか」
(~中盤にて~)
鹿島さん「いま一曲飛んだよね、わざと?」
松崎さん「曲順を手に書いてるんですけどね、汗かいたり手を洗ったりして消えちゃうんですね。笑
やろうと思ってた曲なんだけど、なので今やります」

鹿島さんはコーラスでも全面参加していたり、あの笑顔やアイコンタクトがメンバー間でしばしば見られたりして、ムードメーカー的な役割を果たしているのかなぁと思ったりしました。
最後はピアノに移動して、自分なりの反原発ソングという「大人は知ってる」で本編終了、再度幕が降りた後はセットチェンジの後、後攻高橋徹也バンドが登場。
ハリケーンビューティーから、まるで船がゆっくり航海に出るようにゆっくりと穏やかにスタート。
先ほど松崎さんが演奏したグランドピアノの前にはエレピがセットされ、佐藤さんは演奏によって両方を行き来するスタイル。
二曲目チャイナカフェではあのキレッキレのエレピ伴奏が冴え渡り、カッコいいことこの上ない。おーっ。
ここで正直な感想を一言・・・・・・ちょっとこの序盤二曲、ヴォーカルが若干バンドの音に押され気味? と思いながら聞いてしまいました。ごめんなさい。ただ、ここからが一気に開けていくわけですが。

本題に戻りまして。
高橋さん「今日は松崎さんとの共演で、初めて見てくださるお客さんもいらっしゃると思うのですが特に代表曲なんかもないので新曲を交えつつやっていこうと思います」
脇山さんのバスドラが位置がずれている、と鹿島さんからの指摘が入り、若干調整が入ったりしてから新曲、ハロウィンベイビー・新しい名前と初めて聞くタイトルが続きます。
なんというか、ライブだから当たり前なのかもしれませんが今のこの四人バンドの「いま」が伝わってくる世界観がありありと伝わるんだよなぁ、というのが聴いていて受け取った印象。
脇山さん・佐藤さんが新しい空気を入れて、今のより視界が開けて先へ先へと進もうとする高橋徹也のモードが手に取るように伝わるというか。より研ぎ澄まされてストレートに伝わる物になりつつあるのかな、なんて受け取りました。
夕食の後~夜明け前のブルースからはウッドベースに持ち替えた鹿島さんのベースが唸りを上げ、バンドメンバーもオーディエンスも熱気が高まる一方。
夜明け前~は大暴れするあのサックスがわたしの心の中で聞こえました。笑
ブラックバードの澄んだ美しいボーカリゼーション、大統領夫人~の最高潮ともいえる高まりはもう言わずもがな。
MCは相変わらずのユニークさ。

高橋さん「ここ数年・・・・・・3、4年くらいで台頭してきてる恵方巻きってあるじゃないですか。こう、筒状の、おにぎり?」
わたし「のりまき?」
(ごめんなさい、つっこまずに入られなかった。笑)
高橋さん「そういう行事には乗らないぞと思いつつ見かけると気にはなっていて、当日何日でしたっけ?」
(3日、とつっこみが入る)
高橋さん「当日は乗らないぞ、と思って翌日見に行ったら売ってなくて。あれはその日限定だったんですね。今度は一年後なのかと。ところであれって何の日なんですっけ。春分の日??」
(節分です、とつっこみ)
行事に疎い男、TT

高橋さん「最近テレビを見てると、捕まった犯罪者ってだいたいみんな上下スエットを着てるんですね。スエット、楽でいいんですけど・・・・・・気をつけたいなと」

社会問題じゃなくてそこなんですね。笑
そんな高橋さんの今日のファッション(たぶんモナ連ustでも着てた)茶色の模様の入ったセーター、細身のジーンズ、クラークスのデザートブーツ。
しかしまぁ、この絶妙なズレのユニークさがこの人の世界なんだ。

(共演の松崎さんについて)
高橋さん「松崎さんとは去年ご縁があってライブを拝見させていただき、一緒にやりたいと持ちかけさせていただきました。お話をしたところ「ツアー行く? 九州??」といきなり言われまして(笑)いやそんなつもりなくて、都内あたりでと・・・・・・(笑)

松崎さんアクティブでカッコいいぞ!笑(この翌日には沖縄ですもんね)
都内中心のライブ活動なのでこちらも行ける時は行けるようにしてるのですが(わたしは大阪)、フットワークの軽い方とのスプリットツアーには是非期待したい!

高橋さん「松崎さんバンドの皆さん、後で連絡先を教えてください」

とのことでしたので、今後の展開に期待です。

さて、本編は「今の音楽に向かう気持ちをシンプルかつストレートに表現した」という新曲The Orchestraで終了。
今後の新しい展開としてラブソングを、なんて話も出ていましたが、これが現在進行形で紡がれる高橋徹也流の音楽・バンド・それらを支えてくれる全てへの愛の現れなのかな、なんて個人的には思いました。溢れた思いが流れ着くその先をこれからも見つめていられたらいいな。
感無量の想いを噛みしめていた所で、アンコールに登場。メンバー紹介。

高橋さん「KID! 鹿島達也! 15年くらい呼んでるのに定着しない!」
ここで、後方で見ていたらしい松崎さん爆笑。うむ、和やかだ。笑
最後に披露された、犬と老人はこの美しい夜を締めくくるにはふさわしく。果てなく美しく、ファルセットのたおやかさにうっとりさせられました。


今後の展開について

高橋さん「次回は弾き語りのライブ、これは完売していますが当日お腹痛くなってこれなくなったりする人も居るので当日券をチェックしてください。
その次は3月22日に佐藤くんの弦アレンジの元、弦楽三重奏でのライブです。次は特別な編成でのライブになりますが、今年はそういった形態のライブは少なくして、バンドでの機会を増やしていこうと想っています」

お、これは期待が高まります。この4人で楽曲を育てていき、それが来るべき新作にも繋がっていくと思っていいのでしょうか。

終演後はフロアで物販などの対応をされていらしたので、お礼などをお伝えして帰らせて頂きました。
(たぶん酔ってたので妙に陽気な感じになってしまい、今振り返るとすごく恥ずかしい。笑)
次にこうしてこれるのがいつかは分かりませんが、まだこれからもずっと見届けたいなぁと強く思えた時間でした!
今後の展開にも期待です。

 

2/6(金) 晴れたら空に豆まいて 高橋徹也セットリスト

前奏:不在の海
1.ハリケーン・ビューティ

2.チャイナ・カフェ
3.ハロウィン・ベイビー
4.新しい名前
5.夕食の後
6.夜明け前のブルース
7.ブラックバード
8.大統領夫人と棺
9.The Orchestra
EC.犬と老人

 



"The Orchestra"(高橋徹也さんのブログ)

松崎ナオ Recording at 「晴れたら空に豆まいて」(2015/6/21収録のライブ動画)

高橋徹也・松崎ナオ ツーマンライブ『大統領夫人は知っている』感想(chinacafeさんによるtogetterまとめ)